多世界解釈には解決すべき問題があります。 その問題とは、ボルンの規則を多世界解釈で導出する方法が存在しないことです。 このページでは、その問題を説明し、 ボルンの規則を導出するためのアイデアを紹介したいと思います。
観測確率は波動関数の絶対値の2乗に比例します。 この事実は「ボルンの規則」と呼ばれています。 しかし、この規則は理論的に導かれたものではありません。 実験事実から導かれたものなのです。
多くの人は、この問題に興味がないようです。 それは教科書に基本原理として書かれているためかもしれません。 しかしながら、それは解決すべき重要な問題であると、私は考えています。
一部の人は多世界解釈でボルンの規則を導出できると考えています。 しかし、私はそのようには考えません。
アメリカ人物理学者ヒュー・エヴェレットは1957年に多世界解釈を提唱しました。 彼は論文で、測度という新しい概念を導入しました。 測度は波動関数の絶対値の2乗に比例します。 彼は、測度が確率と同じように振る舞うと述べました。
彼は、測度が世界の個数に比例すると明言しませんでした。 しかし、多世界解釈を採用するのであれば、 世界の個数という概念を使用して確率を説明すべきと、私は考えます。
測度が世界の個数に比例するため、 測度は物理的実体として存在するはずです。 一方、波動関数は干渉するため、 波動関数が物理的実体として存在するはずです。
上記二つの物理的実体の関係を示すことが、 ボルンの規則を導出するための鍵だと、私は考えます。
波動関数と測度の関係を示すアイデアを考えます。 一方、測度は波動関数の絶対値の2乗に比例します。 したがって、ある物理的実体の量と、その量の2乗が存在するアイデアを考えます。 アイデアを次に示します。
1番目のアイデアでは、物理的実体としてばねが存在します。 波動関数の絶対値は、ばねの長さです。 世界の個数は、ばねのエネルギーに比例します。
2番目のアイデアでは、物理的実体として円が存在します。 波動関数の絶対値は円の半径です。 世界の個数は円の面積に比例します。
3番目のアイデアでは物理的実体として球が存在します。 波動関数の絶対値は球の半径です。 世界の個数は球の表面積に比例します。
4番目のアイデアでは物理的実体として点と経路が存在します。 波動関数の絶対値は点の個数です。 世界の個数は経路の本数です。 下記の絵のように3個の点に対して9本の経路があります。
私は、4番目の点と経路のアイデアが有力だと思っています。 このページが、多世界解釈における確率解釈について考える きっかけとなれば幸いです。
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