「万物は数である」 ――― ピタゴラス (紀元前582年 - 紀元前496年)
かつて、私は次のように考えていました。
だからずっと、次のようなことを考えていました。
その後、私は考えを改めました。 この世界は数学的事実なのだと。 たとえるならば、次のような数学的事実です。
最大の散在型単純群はモンスター群と呼ばれています。
リーマン予想は証明されていませんが、 ハーディ(1914)および、ハーディとリトルウッド(1921)は、 Re(s) = 1/2上に零点が無限に存在することを示しました。 したがって、零点が一直線上に無限に存在することは数学的事実です。
物理学者スティーヴン・ワインバーグは1984年に次のように述べました。
宇宙は対称群の表現の巨大な直積だよ。これ以上、的確には言いあらわせないんじゃないかな。
私は、宇宙を26種類の散在型単純群の表現の直積だと推測します。
数学的事実は常に存在します。いつできたというものではありません。 数学的事実が存在するための時間は必要ありません。
数学的事実はどこにでも存在します。ある場所から動くようなことはありません。 数学的事実が存在するための場所は必要ありません。
宇宙が始まる前の、時間も空間も物質もない世界を想像してみましょう。 そこでは、いかなる物体が存在できるのでしょうか? もしそこになにかが存在できるならば、それは数学的事実だけでしょう。
数学的事実ですから、その世界の外側から世界の内部を改変することはできません。 その数学的事実の中に「この世界は数学的事実」と認識する生命体がふくまれているのです。 なんと自己言及的なのでしょうか?
最後に、 物理学者フリーマン・ダイソンが 1983年に書いた記事から引用して、 この記事を終わりたいと思います。 (私独自の翻訳です)
私はひそかなる期待をもっている。 その期待を裏づけるいかなる事実も、ましてや、いかなる証拠もない。 しかし私は期待しているのだ。 21世紀のある日、物理学者たちが、 思いもよらない方法で宇宙の構造に組みこまれている、 モンスター群に遭遇することを。
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