シュレーディンガーの猫



2019/12/3
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公開日 2004/12/25

シュレーディンガーの猫と呼ばれる不思議な問題を説明します。

シュレーディンガーの猫
シュレーディンガーの猫

ボーアのコペンハーゲン解釈

1927年にボーアとハイゼンベルクは次のことを主張しました。

  1. 非実在性:波動関数は実在せず、系の知識を表現するのみ。
  2. 不確定性原理:一般的に、粒子は明確な位置を持たない。
  3. 波動関数の収縮:装置が測定する時、波動関数は収縮する。
  4. ボルンの規則:波動関数が与える結果は確率。
  5. 古典系:最終的な測定結果を得るには古典系が必要。

ボーアは、量子系と古典系の境界の位置について述べませんでしたが、アインシュタインとの議論で光子の箱が量子系になりうると述べました。

ニールス・ボーア研究所がデンマークのコペンハーゲンにあるため、 この主張はコペンハーゲン解釈と呼ばれています。 これは、量子力学の主流な解釈です。

フォン・ノイマン=ウィグナー解釈

フォン・ノイマンとユージン・ウィグナーは1932年にコペンハーゲン解釈を精密化し、 次のことを主張しました。

  1. 非実在性:波動関数は実在せず、系の知識を表現するのみ。
  2. 不確定性原理:一般的に、粒子は明確な位置を持たない。
  3. 波動関数の収縮:装置が測定する時、波動関数は収縮する。
  4. ボルンの規則:波動関数が与える結果は確率。
  5. 意識の必要性:最終的な測定結果を得るには意識が必要。
  6. ノイマンの鎖:量子系と古典系の境界はいくらでも拡大できる。

この主張はフォン・ノイマン=ウィグナー解釈と呼ばれています。

オーストリアの物理学者エルヴィン・シュレーディンガーは、 この解釈には問題があると考えました。 そこで、彼は1935年に思考実験 「シュレーディンガーの猫」を提示しました。

シュレーディンガーの猫のパラドックス

箱の中に猫をいれます。 そして放射性同位体の崩壊の観測装置を置きます。 この観測装置を毒ガス噴出機に接続します。 放射性同位体が崩壊すると、観測装置が信号を毒ガス噴出機に送ります。 その結果、毒ガスが噴出し猫が死んでしまいます。

放射性同位体の崩壊現象は波動関数で記述されます。 つまり、放射性同位体の状態は、 崩壊した状態と、崩壊していない状態の、重ね合わせになります。 そのため、放射性同位体が崩壊したかどうかは観測するまでわかりません。

フォン・ノイマン=ウィグナー解釈が正しいとすると、 人間の意識が波動関数の収縮を起こします。 そのため、人間が観測するまでの間、猫は生死の重ね合わせになります。 この猫を、シュレーディンガーの猫、またはシュレデンガーの猫と呼びます。

猫の生死の重ね合わせは非常識だ。 したがって、フォン・ノイマン=ウィグナー解釈は正しくない。 これが、シュレーディンガーの主張です。

フォン・ノイマン=ウィグナー解釈は、コペンハーゲン解釈の精密化したものです。 シュレーディンガーは、 フォン・ノイマン=ウィグナー解釈に反論するため、 シュレーディンガーの猫のパラドックスを提示しました。

シュレーディンガーの猫
シュレーディンガーの猫

シュレーディンガーの猫の解決策

コペンハーゲン解釈では、波動関数は実在せず、系の知識を表現するのみであるため、問題は存在しません。

一方、エヴェレットの多世界解釈では、生きている猫と死んでいる猫が 別の世界に存在します。 しかし多世界解釈が正しいことを示す実験的な証拠はまだありません。

どちらの解釈による解決が正しいかは未解決です。 今後の解決を待ちたいと思います。


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