四元数解析によるゼータ関数の反射積分方程式の導出

 

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2019/03/04

[リスト]

公開日 2014/5/18

K. Sugiyama[1]

 

四元数解析でゼータ関数の反射積分方程式を導出する。

 

導出方法の枠組み

3-1: 導出方法の枠組み

 

多くの研究者が、リーマン予想の証明を試みてきたが、成功していない。このリーマン予想の証明は数学の重要な課題となっている。本論文では、リーマン予想を証明する準備として、四元数解析から、反射積分方程式の導出を試みる。

 

メリン逆変換より、ある母関数を得る。その母関数を指数倍し、その符号を反転することで、新しい母関数を得る。その母関数を逆Z変換し反射積分方程式を導出する。

 

目次

1      序論... 1

1.1       課題... 1

1.2       課題の重要性... 1

1.3       これまでの研究動向... 1

1.4       本論文の新しい導出方法... 1

2      既知の内容の確認... 1

2.1       四元数... 1

2.2       四元数解析... 1

2.3       コーシーの留数定理... 1

2.4       フレビッツのZ変換... 1

2.5       メリン変換... 1

2.6       オイラーのガンマ関数... 1

2.7       オイラーのベータ関数... 1

2.8       リーマンのゼータ関数... 1

3      反射積分方程式の導出... 1

3.1       導出方法の枠組み... 1

3.2       ゼータ関数の反射積分方程式の導出... 1

4      結論... 1

5      今後の課題... 1

6      参考文献... 1

 

1       序論

1.1      課題

多くの研究者が、リーマン予想の証明を試みてきたが、成功していない。このリーマン予想の証明は数学の重要な課題となっている。本論文では、リーマン予想を証明する準備として、四元数解析から、反射積分方程式の導出を試みる。

 

1.2      課題の重要性

リーマン予想の証明は、数学における最も重要な未解決問題の一つである。

 

このため、多くの数学者がリーマン予想の証明を試みてきた。しかし、それらの試みは成功していない。リーマン予想を証明する方法の一つは、ゼータ関数の零点を、ある作用素の固有値と解釈することである。しかし、これまで、その作用素は見つかっていなかった。反射積分方程式は、この作用素のひとつと考えられる。このため、反射積分方程式の導出は重要な課題である。

1.3      これまでの研究動向

レオンハルト・オイラーは、1737年にゼータ関数を導入した。ベルンハルト・リーマンは1859年に、その関数の引数を複素数に拡大した。

 

ダフィット・ヒルベルトとゲオルグ・ポリア[2]1914年頃に、その関数の零点は、ある作用素の固有値であろうと予想した。この予想はヒルベルト=ポリア予想と呼ばれている。

ゼエフ・ルドニックとピーター・サルナック[3]1996年にランダム行列理論で零点の分布を研究している。黒川重信氏は1996年頃より1元体[4]を研究している。アラン・コンヌ[5]1998年に非可換幾何学とリーマン予想の関係を示した。クリストファー・デニンガー[6]1998年に零点の固有値解釈を研究している。

1.4      本論文の新しい導出方法

 

メリン逆変換より、ある母関数を得る。その母関数を指数倍し、その符号を反転することで、新しい母関数を得る。その母関数を逆Z変換し反射積分方程式を導出する。

 

(四元数の反射積分方程式)

(1.1)

 

変数uは、単位四元数i, j, kで構成される新しい単位四元数である。

(1.2)

(1.3)

 

2       既知の内容の確認

本章では、既知の内容を確認する。

 

2.1      四元数

オイラーは1748年ごろに複素数を利用した。

(2.1)

ウィリアム・ローワン・ハミルトン[7]は、1843年に四元数を発表した。

(2.2)

四元数を次のように定義する。

(2.3)

(2.4)

 

四元数の割り算の順序を次のように定義する。

(四元数の割り算の順序)

(2.5)

四元数共役を次のように定義する。

(2.6)

四元数関数を次のように定義する。

(2.7)

絶対値の二乗を次のように定義する。

(2.8)

 

本論文では、次の記号を定義する。

(2.9)

(2.10)

 

 

2.2      四元数解析

オーギュスタン=ルイ・コーシー[8]1814年に複素解析のため次の方程式を導入した。1851年にリーマン[9]も複素解析のために、この方程式を利用した。

(コーシー=リーマンの微分方程式)

(2.11)

 

フューター[10]1934年に、四元数解析のため、コーシー=リーマン方程式の類似として、次の方程式を導入した。

(コーシー=リーマン=フューター微分方程式)

(2.12)

 

コーシーは、次の積分公式を導入した。

(コーシーの積分公式)

(2.13)

ここでS1は周回経路である。

 

フューターはコーシーの積分公式の類似として次の公式を導入した。

(コーシー=フューターの積分公式)

(2.14)

ここで、S 3は三次元閉曲面である。Dqは次のように定義する。

(2.15)

ここでdSは三次元閉曲面S 3上の体積要素である。

上記の式を積分公式に代入し次の式を得る。

(2.16)

(2.17)

四元数解析の詳細は、1979年のサドベリの論文[11]に記載されている。

 

 

上記の式には四元数の絶対値が含まれる。本論文は、四元数の絶対値を含まない次の新しい公式を導入する。

(四元数に対するコーシーの積分公式)

(2.18)

ここでS1は四元数空間における積分経路である。

メリン逆変換の積分経路

2.1: 四元数空間における積分経路S1

 

本論文は、上記の図において、積分経路S1を含む平面を単位四元数平面と呼ぶ。四元数は非可換だが、単位四元数平面上の四元数は可換である。そのため、単位四元数平面上の積分では四元数の非可換性を無視できる。

 

変数uは、単位四元数i, j, kで構成される新しい単位四元数である。

(2.19)

(2.20)

 

単位四元数平面上の任意の単位四元数qは次のように表現できる。

(2.21)

 

 

2.3      コーシーの留数定理

オーギュスタン=ルイ・コーシーは、1831年に留数定理[12]を発表した。

 

関数F (z)が領域Dに孤立特異点cを持つとする。この時、領域Dを囲む単純閉曲線Dについて次の式が成立する。

(留数定理)

(2.22)

四元数の留数定理を次のように定義する。

(四元数の留数定理)

(2.23)

ここで、変数uは単位四元数である。

 

2.4      フレビッツのZ変換

ビトルド・フレビッツ[13]1947年にZ変換を発表した。関数F(z)が領域D = {0<|z|<R}で正則ならば、その領域内で広義一様収束する級数に変換できる。

(Z変換)

(2.24)

(2.25)

(2.26)

 

Z変換を次のように定義する。

(Z変換)

(2.27)

(2.28)

 

四元数の逆Z変換を次のように定義する。

(四元数の逆Z変換)

(2.29)

(2.30)

ここで、変数uは回転単位四元数である。

 

2.5      メリン変換

ハジャルマー・メリン[14]は、1904年にメリン変換を発表した。

(メリン変換)

(2.31)

(2.32)

 

複素数のメリン逆変換を周回積分で次のように定義する。

(メリン逆変換)

(2.33)

(2.34)

 

一方、四元数のメリン逆変換を周回積分で次のように定義する。

(四元数のメリン逆変換)

(2.35)

(2.36)

ここでCは四元数空間における積分経路である。変数uは回転単位四元数である。

積分経路Cは被積分関数のすべての極を囲む。例として積分経路C を次のようにとる。白丸は極である。

 

メリン逆変換の積分経路

2.2: 四元数空間における積分経路C

 

 

 

2.6      オイラーのガンマ関数

レオンハルト・オイラー[15]1729年に階乗の一般化としてガンマ関数を導入した。

(ガンマ関数の積分定義式)

(2.37)

 

ガンマ関数の四元数の周回積分は次のとおり。

(ガンマ関数の周回積分)

(2.38)

ここで、変数uは単位四元数である。

積分経路γを次の図に示す。白丸は極を意味する。

 

ガンマ関数の積分経路

2-3: ガンマ関数の積分経路

 

 

2.7      オイラーのベータ関数

レオンハルト・オイラーは、1768年に彼の著書[16]でベータ関数を導入した。ベータ関数は次のように、ガンマ関数で表現できる。

(ベータ関数の定義式)

 

(2.39)

 

2.8      リーマンのゼータ関数

ベルンハルト・リーマン[17]は、1859年にゼータ関数を導入した。

(ゼータ関数)

(2.40)

 

ゼータ関数はガンマ関数で次のように表現される。

(ゼータ関数)

(2.41)

 

上記の式を次のメリン変換と解釈する。

(メリン変換)

(2.42)

(2.43)

(2.44)

(2.45)

 

その関数のメリン逆変換は次のとおりである。

(メリン逆変換)

(2.46)

(2.47)

(2.48)

(2.49)

変数uは単位四元数である。

 

 

 

 

ゼータ関数の解析接続は次のとおりである。

(ゼータ関数の解析接続)

(2.50)

 

上記の式を、次の逆Z変換と解釈する。

(Z変換)

(2.51)

(2.52)

(2.53)

(2.54)

 

積分経路γを次の図に示す。白丸は極を意味する。

ゼータ関数の積分経路

2-4: ゼータ関数の積分経路

 

その関数のZ変換は次のとおり。

(Z変換)

(2.55)

(2.56)

(2.57)

(2.58)

 

 

メリン変換とZ変換の母関数は次の関係を持つ。

(2.59)

(2.60)

 

3       反射積分方程式の導出

3.1      導出方法の枠組み

ゼータ関数のメリン逆変換は次のとおり。

(3.1)

(3.2)

(3.3)

(3.4)

 

その関数の逆Z変換は次のとおり。

(3.5)

(3.6)

(3.7)

(3.8)

 

 

メリン変換とZ変換の母関数は次の関係を持つ。

(3.9)

(3.10)

 

導出方法の枠組みは次のとおり。

 

導出方法の枠組み

3-1: 導出方法の枠組み

 

上記の枠組みで、反射積分方程式を得ることができる。

(反射積分方程式)

(3.11)

本論文は、この導出方法を説明する。

 

3.2      ゼータ関数の反射積分方程式の導出

ゼータ関数のメリン逆変換は次のとおり。

(3.12)

(3.13)

(3.14)

(3.15)

 

メリン逆変換では、積分経路Cは被積分関数のすべての極を囲む必要がある。そこで積分経路Cを次のように取る。白丸は極である。

メリン逆変換の積分経路

3-2: メリン逆変換の積分経路

 

一方、その関数の逆Z変換は次のとおり。

(Z変換)

(3.16)

(3.17)

(3.18)

(3.19)

 

積分経路 γ は次の図のとおり。白丸は極を意味する。

 

ゼータ関数の積分経路

3-3: ゼータ関数の積分経路

 

Z変換の式を次のように変形する。

(3.20)

 

上記の式のssに置き変える。

(3.21)

 

上記の式にメリン逆変換の式を代入すると下記式を得る。

(3.22)

 

単位四元数平面上の四元数は可換である。本節では単位四元数平面に存在する変数で積分するため、単位四元数平面上の積分では四元数の非可換性を無視できる。

 

変数 z について積分するため、次のように式を変形する。

(3.23)

 

上記の式に、次の式を適用する。

(ガンマ関数の周回積分)

(3.24)

 

その結果、次の式を得る。

(3.25)

(3.26)

(3.27)

 

次のベータ関数を利用して式を簡略化する。

(3.28)

すると下記式となる。

(反射積分方程式)

(3.29)

上記の式の右辺はs階後退差分のネールント=ライス積分となっている[18]

 

積分経路C は次のとおり。白丸は極である。

ゼータ関数の周回積分方程式の積分経路

3-4: ゼータ関数の反射積分方程式の積分経路

 

 

4       結論

本論文では、次の結果を得た。

・反射積分方程式を導出した。

 

5       今後の課題

今後の課題は次のとおり。

- 反射積分方程式の固有値を調べる。

 

 

6       参考文献



[1] Mail: sugiyama_xs@yahoo.co.jp

[2] Andres Odlyzko, “Correspondence about the origins of the Hilbert-Polya Conjecture”, (1981).

[3] Zeev Rudnick; Peter Sarnak, “Zeros of Principal L-functions and Random Matrix Theory”, Duke Journal of Mathematics 81 (1996): 269-322.

[4] Yu. I. Manin, “Lectures on zeta functions and motives (according to Deninger and Kurokawa)”, Ast'erisque No. 228 (1995), 4, 121-163.

[5] Alain Connes, “Trace formula in noncommutative geometry and the zeros of the Riemann zeta function” (1998), http://arxiv.org/abs/math/9811068.

[6] C. Deninger, “Some analogies between number theory and dynamical systems on foliated spaces”, Doc. Math. J. DMV. Extra Volume ICMI (1998), 23-46.

[7] Hamilton, William Rowan. On quaternions, or on a new system of imaginaries in algebra. Philosophical Magazine. Vol. 25, n 3. p. 489-495. 1844.

[8] Cauchy, A.L. (1814), Mémoire sur les intégrales définies, Oeuvres complètes Ser. 1 1, Paris (published 1882), pp. 319-506.

[9] Riemann, B. (1851), "Grundlagen für eine allgemeine Theorie der Funktionen einer veränderlichen komplexen Grösse", in H. Weber, Riemann's gesammelte math. Werke, Dover (published 1953), pp. 3-48.

[10] Fueter R.: Die Funktionentheorie der Differentialgleichungen Δu=0 und ΔΔu=0 mit vier reellen Variablen.Comment. Math. Helv. 7 (1934), 307-330.

[11] A. Sudbery (1979) "Quaternionic Analysis", Mathematical Proceedings of the Cambridge Philosophical Society 85:199-225.

[12] Augustin-Louis Cauchy, “Mémoire sur les rapports qui existent entre le calcul des Résidus et le calcul des Limites, et sur les avantages qu'offrent ces deux calculs dans la résolution des équations algébriques ou transcendantes (Memorandum on the connections that exist between the residue calculus and the limit calculus, and on the advantages that these two calculi offer in solving algebraic and transcendental equations)”, presented to the Academy of Sciences of Turin, November 27, (1831).

[13] Witold Hurewicz, “Filters and Servo Systems with Pulsed Data”, in Theory of Servomechanics. McGraw-Hill (1947).

[14] Hjalmar Mellin, “Die Dirichlet'schen Reihen, die zahlentheoretischen Funktionen und die unendlichen Produkte von endlichem Geschlecht”, Acta Math. 28 (1904), 37-64.

[15] Leonhard Euler, Euler's letter to Goldbach 15 October (1729) (OO715).

[16] Leonhard Euler, E342 - “Institutionum calculi integralis volumen primum (Foundations of Integral Calculus, volume 1)”, First Section, De integratione formularum differentialum, Chapter 9, De evolutione integralium per producta infinita. (1768).

[17] Bernhard Riemann, “Über die Anzahl der Primzahlen unter einer gegebenen Grösse (On the Number of Primes Less Than a Given Magnitude)”, Monatsberichte der Berliner Akademie, 671-680 (1859).

[18] K. Sugiyama, "複素解析によるゼータ関数の反射積分方程式の導出", https://xseek-qm.net/Zeta.htm, (2019).


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